いつも配信の天気予報番組を楽しみにチェックしているのですが、最近お天気キャスターの方々の言葉の使い方に「あれ?」と思うことがありました。おかしい、間違っている、とかそういうのではなく、前からこうだったっけ?と、記憶とのズレがあるような気がしてきたという感じです。
全国各地の様子を順番に見て行くコーナーでは、私の感覚だと、VTRに切り替わる直前には「さっそく各地の映像を見て『行き』ましょう」、スタジオに戻ってきた時には「以上、各地の映像を見て『来』ました」のような言い方をすると思っていました。「行く」と「来る」を対称的にとらえる考え方です。以前は気にしたことすらなかったので、昔は普通にテレビとかでもそういう使い分けをしていたのではないかと思います。確信はないですが…
でも今のお天気キャスターの方々の中には、「以上、各地のお天気を見て『行き』ました」と、見終わった後も「見て『行く』」という言い方をしている方が少なくないようです。
最初考えたのは、多分「見て行く」というつながりをひとまとまりでとらえているのと、「ミテキマシタ」よりも「ミテイキマシタ」の方が、間に「イ」の音が入って言いやすくなり、聞き取る側も言葉が伸びる分ストレスなく聞き取れる、というのがあるのではないか、ということでしたが、よく考えるとそれ以外にも理由があるような気がしてきました。
それは、「見て来ました」だと、それまでの映像の数々を「見る」の一言で片づけてしまい、間の過程をすっ飛ばしてスタジオに帰還してきたことだけを強調しているみたいになってしまう、ということです。各地の映像を視聴者と一緒にいろいろと見て回ってやっと戻ってきた、という感覚(視聴者との一体感)を表現するには、「見て行きました」の方がしっくり来る、という意識が働いているのではないでしょうか。これまた確信はないですけど…
「キャスターの人そこまで考えてないと思うよ」とか言われそうですが、普段言葉を扱う仕事をしていると、こういう心底どうでもいいことがいちいち気になって理由をあれこれと考えてしまいます。
(企画課M)
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