最近、自分でも何台カメラを持っているのか分からなくなった「window tribe」です。カメラも持っている以上、道具として使ってやらないといけません。
自転車旅、鉄道旅、飛行機旅などの局面に合わせてお供のカメラをチョイスしますが、どうしても出先で近くから遠くまで何でも撮れる優等生なカメラを持ち出すことになります。
私の場合は一番最初はオリンパスの10倍ズームモデルから始まり、その次はパナソニックの高倍率モデルのTZシリーズとネオ一眼タイプのFZシリーズを多用していましたが、撮像センサーがCCDから裏面照射CMOSに変遷してきますとSONYのサイバーショットの高倍率モデルの出番が多くなってきました。
これらのカメラを携えて各地を旅しましたが、前回は京都の賀茂川と高野川が合流して「鴨川」となった辺りで出会った、人、犬、猫、そしてヌートリアなどの哺乳類の面々にモデルさんとしてつとめて頂きした。
魚と鳥たちに挑む
川岸には四季折々に花が咲き楽しませてくれるのですが、今回は徐々に下流に向かいながら旅カメラの性能を一番試される、「離れていて、臆病で、気まぐれな」撮りにくい条件の重なる鳥達と、不本意ながら共演してくれる魚達を中心にチャレンジしてみました。
こういったケースでは、多少嵩張っても高倍率でファインダーの備えられたネオ一眼タイプが撮りやすいです。 前回の鴨川になった辺りの賀茂川大橋辺りではちょっと深みになった所ではコイが結構な数泳いでいて、上空を見るとこれまた結構な数のトンビが我が物顔で旋回しています。
「トンビに油揚げをさらわれる」とも言い、食べ物を狙って急降下してくる様が神奈川の江ノ島では大きく報じられていますが、ここ鴨川でも注意が呼びかけられています。
しかし鴨川では鷺(サギ)の仲間を見かけることが非常に多いです。
白いサギを白鷺と言ってしまいそうですが、シラサギという鳥はいないそうで、大きさで大鷺(ダイサギ)、中鷺(チュウサギ)、小鷺(コサギ)と分類されているようです。従来はコウノトリ目とされていたそうですが、最近の遺伝子解析でペリカン目サギ科となっているそうです。
サギの中でも大型のアオサギが、川の中ほどで喧嘩をしているのか、愛を確かめ合っているのか分かりませんがもつれ合っています。この鳥は悪食なことで有名なようで、魚以外にも、大型のカエルや小型の哺乳類も食べてしまいます。
鴨川はゆったりした川のようで、随所に「落差工」といって河床の洗掘を防ぐために小さな滝のように段差が設けられています。この辺りにサギの仲間が陣取って魚が通るのを待っています。
青いゴイサギと白いサギ、多分チュウサギが水面を見つめていますが、しばらくお付き合いしてレンズを向けていますと、長いくちばしで魚を捕まえて、頭から呑み込みそのまま喉に押し込んでいます。
下のサギはそれ以前にパナソニックのFZ-5というネオ一眼の走りの頃のカメラでバッテリー残量を気にしながら眺めていた最中のものです。
ただならない雰囲気で何が起こったのか分からないままレンズを向けて撮ったものですが、この青い模様の魚はコイ科のオイカワという魚だそうです。
喉の辺りを飲み込まれたオイカワガ通るときに魚の形が分かってしまいます。人間がこんなことをしたら目を白黒させてしまいますが、サギの方は表情を変える事無く呑み込んでいきました。
動物園のペリカンなどでしたらこれくらいの事はしそうですが、旅先で不意に出会った光景は私にとっては新鮮で、恐るべきフードファイターぶりを記録することが出来ました。
ちょっと横道に
東岸の冷泉通り辺りで鴨川に注ぎ込む水門があるのですが、ここの元を辿ると「琵琶湖疏水」といって、明治期に水道、発電、水運などの役割を担って琵琶湖から京都へと開かれた水路となります。
名所としては、蹴上の落差のある部分で船を台車に載せてレールの上で上下させた「インクライン」や、石川五右衛門の「絶景かな」のセリフで有名な南禅寺を奥に行った所にある水道橋の「水路閣」などがあります。
この辺りから平安神宮前を通り鴨川に注ぐ一帯に至る所までは京都観光の見所の集まったエリアの一つといえます。
京都中心エリアに近づく
ここから少し下った辺りが三条大橋で、江戸からの東海道の終点となりますので、西詰めには東海道膝栗毛の野次さん喜多さんの像があります。この辺りを境にこれまでのどかだった鴨川河畔が、商業施設が増えて賑やかな様相を呈してきます。
そうしますと野鳥と言っても、スズメ、ツバメ、ハト、カラスと身近な鳥を多く目にします。
最近の話題で言うと、海洋のみならず河川にもビニール・プラスチックのごみが流れ、それを生き物が食べてしまうと体の外・中を問わず引っかかってしまうと餓死する恐れが報告されています。
このように生き物の営みと、人の営みは背中合わせで危険をはらんだ一面が注目されていますが、市内中心部の河川敷ではコンビニなどからのゴミが目につく事が増してきます。
それでも川の中にはサギがいるのですが、また何やら捕まえたようなのでレンズを向けますが、大きなドジョウのようなひょろ長い魚でした。
後でモニター確認してみますと口の辺りが丸っこい魚で、理科の時間や図鑑で「円口類」として魚類の中でも特別扱いされていた「ヤツメウナギ」のようです。Wiki先生で調べても「生きた化石」「狭義の魚類から外れる」「脊椎動物として非常に原始的」とか珍しそうに書かれています。
実物を見たのが初めてで、これまた新鮮な感動でしたが、目の前であっさりとサギに食べられてしまったわけです。
三条から四条は京都では一番賑やかな場所で、鴨川の西側の運河に使われていた高瀬川との間がお座敷小唄の歌詞で有名な「先斗町(ぽんとちょう)」です。鴨川河畔には京都夏の風物詩「納涼床」も見られます。
私はまだ納涼床には行ったことはないのですが、この辺りは京都のハイレベルの料理が味わえる場所ですので、背伸びして割烹などに入ることはあります。
細かな包丁の仕事をされた料理を記憶に残すためにも、旅カメラはオールマイティーな性能を遺憾なく発揮してくれます。
最近のカメラはモニターがタッチパネルになっている機種もあり、メインに据えたいところをタッチするだけでピントを合わせてシャッターがおりるので直感的で便利です。 四条から五条に向かいますが、納涼床が夏の風物詩ならば、冬の風物詩はユリカモメでしょうか。餌をやる人の周りには、おびただしい数のカモメが乱舞します。「海から離れている京都市内にカモメ?」と思ってしまいますが、前に琵琶湖の湖北に行った折に、早朝にカモメの大群が飛んでいるのを見ましたので、そっち方面からやって来るそうです。
繁華街から離れる
五条大橋の西詰めでは牛若丸と弁慶の像がありますが、ちょっと思っているイメージが違います。地元青年会議所寄贈だそうで、制作は京人形の人間国宝の方の作だそうです。
ここから南側は住宅街となってあまり旅情がかき立てられませんが、鴨川らしくマガモやカルガモの姿を見ることが出来ます。
鴨川はこの先、桂川に合流し淀川となって大阪湾に注いでいきます。
また先ほどの運河の高瀬川は九条と十条の間で一旦鴨川に合流し、分断されていますが、酒処の伏見にまで張り巡らされ、こちらは宇治川に注がれます。
伏見では屋形船型の遊覧船で、月桂冠の酒蔵や寺田屋の近くを通り、こちらも歴史好きには見応えのある穴場観光エリアです。
陸路での運搬が発達するまでの300年間、舟運が栄えていた時期もあり、京都が水とともに発達してきた事が分かります。
旅で見たこと聞いたことを脳裏にきっちり記憶できる方は良いのですが、私のように直前の記憶もあやふやな人間でも「旅カメラ」の助けがあればこのように再現することもできます。
年齢を重ねると人間は無気力や無趣味になっていくものですが、それをちょっとでも食い止める有効なツールともいえます。
今回は「鳥と、捕食される魚」という色合いとなりましたが、鴨川には、季節の風物詩、水運と都市の発展、など色々な「テーマ」を提供してくれる奥深さがあります。
今回の主役のサギさんは食べてばかりでしたので、最後に優美に飛んでいる姿をお見せしてお別れといたします。
コメント