だらだら書いてきたしまなみ海道サイクリングの記事ですが、各島紹介もようやく県境を越えて、今回は愛媛県の今治市にあたる「大三島」の紹介をします。
日本国内の観光名所に飽きた外国人観光客が新たなターゲットとして大久野島を一気に盛り上げて下さったようで、建物もコンパクトながらお洒落になってグッズも多く売られていて驚きです。そのうえ大久野島の前にわざわざ「うさぎの島」と前置きしてアナウンスされるようになっており、宮島の鹿と双璧をなす動物観光大使ぶりです。
途中大久野島で大半の乗客が下船して、忠海から30分ほどで盛港に到着です。
ここから愛媛県最大の「大三島」の外周、距離にして40kmちょっとの予定で、シーサイドを反時計回りで走り出しますが、竹原のコンビニで買っておいた冷凍食品のうどんが適度に解けてきたので、海辺で携帯コンロを出して、お握りと共に爽やかに朝食にします。この開放感がたまりませんが、食べ終わったところで蚊に数箇所噛まれていました。
Wiki先生を見ていると乾燥に強いカニのようで僅かな水を循環させてエラ呼吸するそうで普段の生活は意外にも山中に潜んでいたようで、却って水中では溺れるとまで書かれています。
ところがそんなカニが何故に命の危険を賭けてまで道路を横断するのかという理由は、卵から幼生に孵るには、こればかりは水中でないといけないらしく産卵のための移動なのですが、それがこの時期に一斉に道路を横断して海に向かった理由だそうです。
そんなことで、結構登ったところでもその姿が見られ、私も何度も目の前を横切られて轢きそうになって危なっかしかったですので、この時期の大三島だけは、あまりお奨めではないです。
そんな感じでお店も観光名所もない大三島の北東部分をカニを避けながら消化して、最大の観光名所「大山祇神社」に向けてペダルをこぎ宮浦港に着きます。しまなみ架橋される前はここが大山祇神社の門前として尾道や松山からの航路で大いに賑わっていたようですが、その面影を少しばかり見ることができます。
ここから山側に少々走ると大山祇神社に到着します。海と山々を守り、戦いの神様として崇められて、多くの武将から刀剣、甲冑、弓矢など武具の寄進を受けて、とりわけ国宝・重文指定の甲冑の4割が収蔵されているそうで、大三島が「国宝の島」と言われる由縁です。境内中央にある「乎千命御手植の楠」の老木も神秘的で必見です。
ただ気になるのは説明書きに「嫌な臭みはありません」の文字で、それだったら別に猪である必要も無い気がしたのですが、島の団栗や柑橘を食べて育った猪は脂身に上品な甘みがあるそうで、違いが分かるようになるまで数回通わないといけないようです。
西岸北側よりカニは減りましたが、それでも所々で出会います。進むにつれてアップダウンが増えてくるような感じでしたが、以前今治の帰りに立ち寄った現代彫刻を中心に展示してある「ところミュージアム大三島」に到着です。前回は開館時間前に来たので入れませんでしたが、いよいよ入館できます。変わった名前ですが実業家の所敦夫氏の寄贈で作られたそうです。
小高い道路沿いに入り口があり自動ドアの男女の顔が引っ付いたり離れたりしますが、入館しますと斜面という地形を利用して海側に向かって階段状に展示室が設けられ下って行くように作られています。
http://museum.city.imabari.ehime.jp/tokoro/
私のようにアートに心得のない者でも、木で作られた「KIOSK3・4番ホーム」と言う実物大の駅の売店をモチーフにした作品の中でも、とりわけ店先の商品の精巧さに見入ってしまいました。
海が一番近い最下層のオープンデッキではセルフサービスでコーヒーを入れて飲めるのですが、対岸の大崎上島を眺めながら、思いのほか豊かなひと時が過ごせます。
http://www.tima-imabari.jp/
母と子のミュージアムは伊東先生設計の円形の美術館で、内部はオープンエアの庭に親子の絆を感じる事ができる彫刻群が展示されています。
ここからは大三島の南岸を海と山を眺めながら、地形に沿って登ったり下ったり曲がったりしてひたすら東岸側に向けて修行していきます。
一汗かいた所で、ミカン畑の中に見落としそうな立ち寄りスポットが現れます。ハンドドリップで一杯ずつ淹れてくれる「オミシマコーヒー焙煎所」というコーヒー専門店です。
http://omishimacoffee.com/
実は私はからっきしコーヒー音痴で、最近はやっと日本酒では醸造関係の方と背伸びして10分位なら会話できるまで勉強したのですが、コーヒーはいまだに「黒くて苦いお湯」の域を出ていませんので、これから語れるように勉強しないといけません。ただし、ここのプリンは掛け値なしに絶品ですので、これだけで立ち寄る価値があります。
一休みが済んで、一山越えると大三島の東岸エリアになり、しまなみサイクリングの推奨ルートに入ります。起伏の無いまま突っ走るとスタート地点の盛港まで行けてしまいますが、ちょっとばかり寄り道しながら行ってみます。
メインの道に傍らに小さく「リモーネ Limone」という青い看板が出て、示されるままに路地を入って行くと、民家を改装したお店にたどり着きます。
柑橘農家さんが営んでおられるお店で、店名はイタリア語で「レモン」の事です。目立たない所にあるお店ですが、ジャム・ママレード、ケーキ類、リキュールなど扱っていて、ガイドブックでは常連組の有名店です。ジャム類は嵩張らないのでしまなみサイクリングのお土産によく買って帰ります。
http://www.limone2.com/
メインの道路に戻り、海側に目を向けますと、どんどん多々羅大橋に近づいてくるのですが、その手前に、陸からほんの近くに小さな島が見えます。古城島といって、日本最古の水軍城の甘崎城跡です。汐が引いたときに陸繋島になる事があり、海中から石垣が姿を現す事があるそうですが、まだお目にかかれていませんし、ほんの短時間で渡る事も危険なので薦められていません。
大三島は愛媛県ですので随所にゆるキャラの「みきゃん」が姿を現します。彼には敵役の腐ったミカンをイメージした「ダークみきゃん」も存在しますが、「バリィさん」との二大ゆるキャラを擁する愛媛県に対し広島県は大きく遅れをとった感じです。
https://www.pref.ehime.jp/h12200/mican-kanzume/index.html
愛媛県で一番大きな外周約40kmの大三島ですが、下の写真で見える多々羅大橋から左上の大三島橋までの、たった4km程がしまなみ海道サイクリングの推奨ルートでしかないので、今回のサイクリングは普段では見られない多くの物が見る事が出来たと振り返る事が出来ます。
記念撮影スポットとしては「サイクリストの聖地記念碑」があり、ここの金属板で作られた人型自転車スタンドが撮影にはうってつけです。「6人のシクロ・ツーリスト」と言う作品名があるのですが、そのうち4種がここに設置されています。
今回はフェリーでやって来た設定ですが、大三島の観光スポットとしては多々羅大橋は外せませんので簡単に紹介しておきます。
広島県の尾道市の生口島との間に架橋された全長1,480 mの斜張橋で完成時は世界最長の斜張橋だったそうですが、いまでは順位が下がっているそうです。中央部に県境のラインが引かれています。
特徴的な逆Y字型の主塔の海面からの高さは220mで50階建てビルの相当します。以前この主塔の頂上に上がれるイベントに応募しましたが見事に外れました。
主塔の下の部分では手を叩くなど音を出すと反響する「鳴き龍現象」がおきます。
さて「道の駅多々羅しまなみ公園」を出て平坦な道を北上しますとスタート地点の盛港に戻って大三島1周の完成です。
帰りのフェリーでは「うさぎの島」大久野島に途中下船します。久々の来島なのですが、港からウサギたちが出迎えてくれます。餌を持参の人には二本足で立って大歓迎してくれる気合の入りようです。
海辺にはウサギの耳の形をしたオブジェが有ったりしましたが、実は中に頭を入れられるようになっていてウサギの耳を実体験できるようになっており、なんと対岸の人の話し声まで聞こえます(ウソです)。
環境省所管の「ビジターセンター」ではウサギ以外の自然や歴史文化も展示されています。丁度その頃、私は広島大学のビオトープでトンボの写真を撮ったりしていたので、トンボの展示は大変興味深かったです。
ウサギに目がいきがちですが、戦時中は軍事施設として「毒ガスの島」「地図に載っていない島」としての負の遺産としての一面が有り、資料館や当時の遺構が語りかけてきますので、学びの多い島といえます。
次回は愛媛県の2つ目の島、伯方島を紹介します。
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