しまなみ海道サイクリング入門と称して書き出しましたが、全ての島の紹介を始めて今回は尾道側から3つ目の島の「生口島(いくちじま)」を紹介します。
因島から生口橋を降りて次の県境の橋、多々羅大橋に行くのは島の北側を半周するか、南側を半周するかの2通りのルート選択をしますが、どちらに行くにしても生口島の外周は大きな勾配のない走りやすい島です。
しまなみ海道の推奨コースの第一のテーマは「最短距離で」なのですが。生口島だけは他の島々と異なり距離は若干伸びても「観光」に特化したルート選定といえます。
今回は時計回りの南側から紹介していきましょう。走り出して暫くすると洲江の港になります。ここからそう遠くない対岸が愛媛県の岩城島になります。レモンと造船の島ですが、ここも機会があれば行ってみたい所です。「ゆめしま海道」の弓削島、佐島、生名島とを結ぶ架橋の工事も進んでいるそうです。
洲江港の入り口沿線の道路わきに古い農機具が置かれています。前々回の向島の民俗資料館で見たような気がする器具ですので覗いてみました。
右の看板が付いたドラムのような器具は足踏み式千歯こきで稲の脱穀に使われます。左の木製の器具は「とうみ」といって脱穀した物を落下させて風力でもみ殻やゴミを吹き飛ばして、重い米粒が下に落ちて選別するそうです。
観光地ばかりが見所ではなく、このように何気ない道端の品物も私にとっては興味の対象になります。
そして島の南側を半周して、向かう先には多々羅大橋が見えてきます。多々羅大橋への上り口では行楽期には地元みかん農家の方々がレモンの蜂蜜漬けや各種柑橘類を振舞う「お接待」でもてなして頂けますが、あまり酸っぱいものが好きではない私でも、この酸っぱさでは生き返る気がしますので、サイクリングのアクセントになります。
ここを通り過ぎて2knほど行くと「サンセットビーチ 瀬戸田」になります。
前述したように勾配の少ない島ですので、ファミリーで来られた折に、ここに無料で車を置いてレンタサイクルで島を1周するのも達成感のある思い出作りが出来ると思いますが、ハイシーズンは出遅れますとレンタルは順番待ちになる事もあるようです。
サンセットビーチから瀬戸田の町までは海沿いの快走コースとなります。対岸の大三島との間に小さな島が見えるのですが瓢箪島と呼ばれています。私のように半世紀以上生きてきた年代にはNHKの人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルの一つ(諸説あるので)と言われ懐かしく思います。
道中各所には地元の方々の手による交通安全を願う人形がサイクリストを見守ってくれています。我々のように他所から来たものも楽しめますが、地元の方も手芸の技をふるってエンジョイしているようです。
前の今治往復サイクリングの時には瀬戸港から尾道港までワープしましたが、瀬戸田は生口島の中心地で観光スポットが目白押しです。その筆頭が耕三寺と平山郁夫美術館です。
「西の日光」と呼ばれる耕三寺は最近行けていませんので写真が無いのですが、日光陽明門を始め国内の有名どころの寺院建築をモチーフにした塔頭の多い伽藍が有名です。
瀬戸田の古い街並みの「しおまち商店街」ではガイドブックに載るようなローストチキンの玉木商店、古民家カフェの汐待亭が有名ですが、この時は手軽に楽しめる岡哲商店のコロッケを頬張りました。
また私の場合は文化財好きですので、しおまち商店街裏手の小高い山の上にある曹洞宗の向上寺の方に足が向きます。ここの三重塔は室町時代に建てられた国宝指定です。
瀬戸田の町並みを過ぎると生口島の北部の快走ルートになりますが、途中でサイクリスト御用達のジェラート店「ドルチェ」にはその時の気分で立ち寄ります。
ここを過ぎると対岸に因島が見えてきてゴールが近いようでなかなか生口橋が見えてきません。対岸と平行線を辿りながらようやく生口橋が見えて来ました。ちなみにこの島の面積は厳島よりほんのちょっと大きく、それだけでもファミリー層には1周する達成感があると思いますので、初しまなみ海道には是非お奨めです。
次回はいよいよ県境を越えて愛媛県の大三島に渡ります。
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