「健康器具」と称しては自転車ばかり買って一部屋占領されてしまった「 window tribe 」です。
しまなみ海道サイクリングの「推奨ルート」は尾道-今治間の要所を取り込みつつ極力最短距離で結ぼうという最大公約数的なルート選定をされているようですが、違った見方をすると各島の「推奨ルート以外」の部分のほうが多いともいえます。これを走らずして、しまなみ海道を知った事になりません。
「推奨ルートでない」部分をコンプリートしようと考えるのも自然な流れで、これを「裏しまなみ海道」とでも題してみようと思っていましたら、弊社Web担当から「裏しまなみ」で検索を入れると呉市の下蒲刈島→上蒲刈島→豊島→大崎下島から愛媛県の岡村島に至る「とびしま海道」へ飛ぶと通知がきたりして、社内でも随所でそれぞれが自分の専門分野で活躍しています。
しまなみ海道サイクリング関連の記事が後10回くらいは続くと思いますが、その後も前述のとびしま海道をはじめ、倉橋島、江田島、宮島と県内の島を巡っていますので、来年もお時間がありましたらダラダラした文章にお付き合いください。
今回の相棒紹介
前々回は折り畳み自転車の紹介をしましたので、今回は我が家で一番古い自転車を紹介します。
かれこれ30数年以上の昔になりますがまだマウンテンバイクが流行る前に、そのはしりのマディフォックスという自転車に乗っていましたが、別途、街乗り用にということで自転車道楽の友人に10数万円の資金を預けてお任せで1台作ってもらいました。
作者が言うには、当時十日市町のツタの葉が絡まる洋館でフランス人マダムのおられる「ポワブリエール」と言うケーキ屋さんにお茶をしに行くためにという「おもちゃ」的なコンセプトで組んだと言っています。
「ZUNOW」という当時国内ではちょっとは知られていたフレームに、今は無きフランス製のユーレというメーカーの変速機、イデアルと言うメーカーの幅広なレディース用革サドルなどのフレンチパーツをアッセンブルして、競輪やトラック競技に使うタイヤごとリムに貼り付けるチューブラという仕様です。「おもちゃ」がコンセプトですので子供がレースに使うちょっと小さめの24インチタイヤになっていますが、パナレーサー・キディーとかビットリアのジュニアなど入手困難になっているのが困りものです。
クロモリという細身の鉄製フレームですが、エイっと気合を入れれば小指一本で持ち上げることができます。 車の世界で言うとクラシックカーは大袈裟ですが、ヒストリックカー位の扱いでしょうか。時折、ご高齢のサイクリストさんから「めずらしいのに乗ってるね」と声をかけられる事もあります。
今でも乗れるようにメンテナンスに出そうにも、友人の道楽で作っているのでブレーキや変速のケーブルの取り回しもハンドル内にパズルの様に通してマニアックで、部品の規格も古いので近所のバリバリ競技系の自転車屋では最近のパーツしか分からないようで、いじるのを敬遠されてしまい、青い自転車ですが、わざわざ尾道の造詣の深い「レッドバイシクル」さんでメンテしてもらいました。
今回と次回はこの自転車をメインに使って、尾道側から見て最初の島の「向島」、次回は「因島」の外周をそれぞれご紹介します。
向島を1周してみよう。
今年はしまなみ海道を春と夏に2人の逃亡犯がお騒がせましたが、春の今治の刑務所を脱獄したほうの逃亡犯が長期潜伏して、住民生活や交通に大きな支障がでたのが「向島」です。
ゴールデンウイークに今治に行った折にも要所々々に動員されたおまわりさんが警戒に当たっていて物々しかったです。この翌日のサイクリングの帰途の道すがらに、逃走して23日目にして広島で逮捕されたという一報を聞きましたので、警察の方々も肩の荷が下りたと思います。
その「向島」は尾道市街と尾道水道を隔てた対岸にある島で、下の写真は浄土寺の裏山の奥の院の展望台から眺めた風景で、尾道水道は海と言うよりは、ちょっとした川のようにも見えます。
その下の写真は水上飛行機の「せとうちシープレーン」から向島を南側から眺めた風景ですが、左手の因島大橋を渡ると因島となります。橋の付け根の立花海岸周辺は最近の注目スポットです。
一日を有効に使うために朝早くから行動開始ですが、尾道らしい光景として海岸通りでは、晩御飯のおかずを買いに立ち寄るということから名付けられたという「晩寄り」さんという手押し車で魚を商う人たちが準備に余念が有りません。
毎度の事ですが尾道市街からは3航路ある渡船で向島に渡ります。チケットとかは無く船上で110円の現金払いです。
向島に渡ってまずは東に向かって時計回りで走ってみましょう。最初のうちは住宅があって、工場あって、まあ誤解を恐れずに言うと島の半周は変哲のない観光に適さない風景が続きます。
島の南側に出ると堤防の上にカニが居たりして海がぐっと近づいてきます。広島大学の臨海実験所もこのあたりにあり、イノシシ注意の看板も出ています。 島の南岸を東から西に向かい走り、途中で尾道市マリンユースセンターというレクレーション拠点のある立花という地域で山の中に入り込んでいくと「立花自然活用村」という看板があり、ここから狭隘な道を上がって行くと廃校を活用した施設にたどり着きます。
ここの2階が「ウシオチョコラトル」という最近注目されている「ビーン・トゥ・バー」といってカカオ豆から一貫してチョコレートを作る工房です。
世界の色々な国から自ら吟味して集めたカカオを焙煎からやって産地ごとの種類のチョコが作られています。お値段は800円前後で安いとは言えませんが、お土産品としてはチョコ作りの「物語」も味のうちで賞味するのもオツです。
この建物の1階は郷土資料館で、昔は祭事などの行事で地域全体が栄えていた事が伝えられていますが、時代と共に衰退してきた様子も窺えます。「オジサン」とすれば娯楽がスマホのゲームなどに推移している昨今の世相も、この先どう変化していくのか温故知新してしまいます。
海辺に下って海岸沿いを走ると因島大橋がドンドン大きく見えてきます。この辺りの中心施設が以前紹介した「立花食堂」で、サイクリングのような息切れと汗とは無縁のお洒落なカップルが多く集うエリアです。
南国情緒あふれるカフェを中心とした敷地内で、他には「life:style」という雑貨店や、レモンが浮かべられた足湯もあったりして、向島では必見の施設です。
近くには最近「ウィローズ ナーサリー」というこれまたハワイアンなカフェが出来ていたりして、注目エリアです。 因島大橋の先はしまなみ海道の推奨ルートとなり毎回紹介していますが、シーサイドロードが終わる辺りに赤いアーチ構造の「向島大橋」が見えてきます。
この先が向島の西に位置する岩子島で「いわしじま」と読みます。ここに行った時は「ストライダ」という三角形フレームの折畳み自転車を持ち込みました。
この島には厳島神社の分社があり、玉木宏主演の映画「探偵ミタライの事件簿 星籠の海」の舞台としても紹介されています。 向島も余すところ北側の住宅地から商業エリアに向かってラストスパートですが、渡船に乗る前に毎度々々必ず立ち寄るのが「後藤飲料水工業所」です。平たく言えばラムネ屋さんですが、銭湯などでお馴染みの飲料を見る事ができてノスタルジーに浸れます。
冷蔵庫に作り付けられた「栓抜き」などは今どきの子供は使い方が分からないかも知れません。
次回はもう一つ橋を渡って「因島」の紹介をします。
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