最近は暇さえあれば行っていた関東・関西方面には目もくれず、地元の魅力再発見で毎月のように「しまなみ海道」に通っている「 window tribe 」です。
ムキムキの体育会系でない目立たないひ弱なオジサンの、しまなみサイクリング入門と銘打って始めたシリーズですが、前回はバスで今治まで行って日帰りで70kmを自走して帰ってきたお話でした。
今回はもう一歩エスカレートして、その翌年2015年のゴールデンウィークに尾道をスタートして今治で一泊して帰ろうという計画を実行した時のお話です。
「輪行」してスタート地点に向かう
スタート地点の尾道には車に自転車を積んで行き有料駐車場に車を置いて行くか、電車で「輪行」といって、自転車を折畳んだり分解したりしてコンパクトにして袋に入れ「手荷物」として持ち運ぶ方法か、家から尾道まで自力で走っていくか、と方法があるのですが、自走なんてとんでもないので今回は始発の電車による輪行で尾道駅に到着しました。
前回と同じ折畳み自転車を使いますが、「プジョー・パシフィック18」といって、折畳み自転車界では、どう畳んでいるのか理解し辛い折畳み機構に特徴がある「BD-1」や「バーディー」という名で知られた代表的なモデルと同型の自転車です。少ない予算でペダルは折り畳み式の定番品MKS社FD-7に、ブレーキはマウンテンバイクの定番品のディオーレに、サドルも軽量な物に交換しています。
シートポストの後ろには「リクセン・カウル」社製のアタッチメントを付けて、ザックの背面の金具と固定して背負わなくても走れるようにしています。フロントの丸いバッグはフランスの「タンタマール」社製でこちらもアタッチメントで固定できます。
バッグの中には一泊しますので着替えを入れますが、自転車のトラブル時用の六角レンチやタイヤレバー、空気入れなどの工具も必需品です。パンク時には普通の自転車屋さんではチューブを引っ張り出して水に漬けて穴を探しますが、出先ではそんなに悠長にも出来ませんので、替えの新品チューブもそんなに嵩張らず高いものではないので用意していて、そのまま交換してしまいます。
この自転車には飲料ボトルを留めるボトルケージ用の穴がないので、マジックテープ留めの物をフレームに付けて、ここに電車の中で使った輪行袋を携行出来るようにしました。
ヘルメットやグローブなど生身を守るアイテムや保険証の写し、また必要に応じてバンドエイド、頭痛薬、風邪薬、アンメルツなどエイドキットも忘れないように準備しましょう。
さあ、それではスタート
さて、時間は前回のバスでのサイクリングと同じ7時前ですので、駅前には今治行きの「サイクルエキスプレス」がいましたが、今回は自力で今治に向かいます。
自転車込みで110円の渡船で尾道水道を渡って最初の島の向島に足跡を印しますが、推奨ルート道案内のブルーラインでは今治まで75kmの表示でスタートを切り、前回駆け足で走った分、沿線の風景を楽しみながら走ります。
山陽本線や国道2号線の糸崎―尾道間で見えるのがこの橋で、以前電車の車中で「うわー、瀬戸大橋が見える」と喜んでいた人もいたりしましたが、瀬戸内海で唐突に橋が見えると何でも「瀬戸大橋」と言ってしまうものなんでしょうか。
生口島の沿線でも地元の方々が交通安全の手作り人形を並べて道中の安全を祈ってくださいます。
自転車もバリバリのハイスピードで走る人たちもいれば、小学生を含んだファミリーもいて速度域が異なり、それぞれの橋へのアプローチの坂道では曲がりくねったブラインドコーナーで対向することもありますので、事故の無いように周りに気を配った注意が必要です。
サンセットビーチ瀬戸田で一休みして、愛媛県との県境の多々羅大橋に上がって行く手前でこの先が上り勾配になるのですが、ゴールデンウィーク中などの行楽期にはミカン農家のご婦人方がレモンの蜂蜜漬けや様々な柑橘類を「お接待」で振舞って下さいます。こういった地元の方々との触れ合いで元気が頂けるのもしまなみサイクリングの魅力の一つです。
お昼ごはんには、伯方の塩ラーメンでガイドブックに載っている「さんわ」行ってみようと考え、ちょっと寄り道してみます。
伯方・大島大橋の上がり口を過ぎて反時計回りで島を回りますが、ここまで50km程走ってきているので勾配で苦労します。とはいえ車だったら何でもない坂なのですが、自力で地球と戦っているんだと大袈裟に考えながらペダルを踏み込み「寄る年波」という言葉を身をもって実感できます。
島を半周して「さんわ」に着きますが多くの待ち客がいて骨休めをしつつ期待してやっとこ席に通されます。壁には色紙が並び「〇〇の宝石箱やぁー」のあの方の色紙には「大人の味」と書かれていました。貝めしセットというのを頂きましたが、これが「大人の味」なんかいな思いながら頂き、「子供の舌」の私は来た道を戻り、伯方・大島大橋を渡って大島に到着します。
橋を降りて宮窪地区までのシーサイドの区間がしまなみ海道で一番「海を感じる」ことが出来るルートです。
海と言うより川のような急な潮流で、沖合に浮かぶのが能島村上氏の本拠、能島(のしま)となります。村上水軍が活躍していた急な潮流の中を今は観潮船が行き来していますが、この辺りの事はその後、各島をくまなく回りましたので後日追って詳しく案内します。
橋を渡りきると四国の本土に自力でやって来た充実感を味わい、サイクリング拠点の「サンライズ糸山」でご褒美のアイスを舐めつつ一休みです。
贅沢に宿泊する
前回の片道サイクリングでは、尾道で格安に「ゲストハウス」泊まりを体験しましたが、今回の宿はその対角線上にある、来島海峡大橋から見えた今治で一番高い建物の「今治国際ホテル」になります。
実は宿泊サイト「一休」を見ていたらGW中にも関わらず破格の値段で出ていたのでポチったのがこの往復サイクリング計画の始まりでした。(以降破格のプライスが出ているときには、予約して今治にやってくるようになりました。)
今治で一番格式の有るシティーホテルですが、交通費は自分の足で節約したので、その分だけ社会勉強ということにします。いきなりのビックリ体験は、大理石張りのロビーを自転車を押して通って、これまた大理石張りのエレベーターで地下駐輪場に置くようになっていて、高価な自転車が停められていました。低層階の新館では客室に自転車が持ち込めるようで、広島のリーガなどでは考えられない事ですが、ホテルと自転車が融合して、場違いと思いながら貴重な経験をしました。
通された客室は広々したダブルのシングルユースで、窓からは左手に来島海峡大橋、右手には今治城が見下ろせる贅沢な部屋でした。
ところが灯台下暗しでホテルのまん前の焼き鳥屋さんに潜り込む事に成功します。串焼きの他に今治流の鉄板で焼いた焼き鳥、地元では「せんざんき」と呼ばれる唐揚げなど、ニワトリが枕元に化けて出てくるのではと思うくらい堪能しました。
部屋に帰ると窓からはライトアップされた来島海峡大橋と今治城が見えます・・・・・ そして、朝。
私は結構早起きですので朝食時間までに、今治城までポタリングして、レストラン開店とともに庭園の見える窓際席に陣取り愛媛の名品が並んだバイキングで朝食をすませます。
ゆっくりしたいところですが、広島への帰途も盛りだくさんの計画があるので準備にはいり、大理石の敷かれたフロントで自転車とともにチェックアウトします。(後編につづく)
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