社内ではへそ曲がりで通っている「window-tribe 」です。
へそ曲がりで説教が長く面倒くさい性格ですので皆に避けられています。ところが「写真を撮ってください」という依頼だけはちゃっかりと言ってこられます。
別に専門の先生に師事したわけでもなく、コンテストに出展するハイアマチュアでもなく我流で撮っているのですが、プロに出す経費削減みたいなものでしょうか。
最近のカメラはドンドン性能が上がって撮りたいものに向けてシャッターを切ればそこそこの写真が撮れるので、自分で撮って表紙でも飾れば充実感が味わえるのですが、私の周りでは恥ずかしがりやが多いのか何故かあまり写真を撮ろうとしません。
そんなことで最近「組版よもやま話」は説教じみた文章が続きましたが、真面目なネタがチャージ出来るまで、ただの写真好きのオジサンのシャッターを楽しく押す遍歴でも書いて時間稼ぎをしてみたいと思います。
何でも撮ってみよう
私がまだ駆け出しの頃に会社で製版と言えば「リスフィルム」という白か黒かのコントラストがはっきりした大きなフィルムを使い、暗室で大きな製版用カメラで撮影したのち、手で現像をして、そのフィルムをライトテーブルの上で手集版するという職人技をしていた時代でした。当時先輩には写真店に出入りするハイアマチュアの方が3人いて、ミノルタSRTという一眼レフを譲ってもらって白黒写真の現像なども教わったりしました。また自分買ったオリンパスXAという画期的なコンパクトカメラは長らく愛用していました。
そのまま教わっていればもっと絞りとシャッタースピードの関係など基礎的な知識が早くに身についていたのだと思いますが、スーパーカー世代の私は高校時代から読んでいたモータースポーツ雑誌の影響でランチア・ストラトスに憧れて自動車競技の世界に足を踏み入れて趣味の軸足が移ってしまいました。
10年位はそちらで頑張って、たいした成績は残せませんでしたが地方選手権で実績を積んで何度か全日本選手権にも出る事ができましたが、そこから先はプロの世界ですのでサラリーマンの時間とお金の限界を感じて足を洗いました。(今年は東出昌大と新田真剣佑出演の「OVER DRIVE」という映画もありましたが、私がやっていた時分はこんなに派手ではありませんでした)
時代はフィルムカメラからデジタルカメラへの過渡期で、私も本社勤めから一時空白時間を経て広島大学の統合移転に合わせて東広島市の工場に配属になり居を移しました。
家電量販店の店頭で色々なカメラを触りましたが買えるのは1台ですので大いに悩んだ挙句、400万画素の10倍ズームという何でも撮れそうな機種を買い求めてあれこれ撮っていましたが、一眼レフの方が格好良いとの理由で800万画素の入門用デジタル一眼を買い求めて、どんなかなと乗り物、植物、動物、三脚を据えて風景など、これでもあれこれと何でも撮ってみました。
元来の乗り物好きで幼稚園の頃から好きだった飛行機は被写体の筆頭になります。それと周りに猫好きが多かったせいもあってか猫も同率1位になり、前にも述べたように世界的動物写真家の岩合光昭先生と同じ機材を使えば同じような写真が撮れるというミーハーな理由で歴代のオリンパスのハイエンド機材を使っています。
昨日の常識は明日の非常識
お仕事の方では前述の製版用のリスフィルムを暗室で手現像していたものが、自動現像機の導入で省力化したと思って一安心していると、今度はフルデジタルのワークフローで組版データから「フィルム」と言う媒体の存在が無くなり印刷用の刷版が出来るようになったり、版の介在しない複合機による小部数対応が出来るご時世になりました。
しかしタブレットなどの電子デバイスによるペーパーレス化で「紙」さえも介在しないことが喧伝され印刷業は斜陽だという雰囲気も出て来ました。ところがまだこの先には近未来が舞台のアニメ「攻殻機動隊」の電脳化のように脳とネットワークが直接結びついてタブレットも不要になるようなことも考えられ、「ダヴィンチコード」の作者、ダン・ブラウンの最新作「オリジン」でも同様な事が描かれています。
私どもの会社は文字物主体の印刷会社として推移してきましたが、文字と映像で意思伝達する事には変わりないようですので、この点は注目し続けないといけませんし、前回書いたように「ボーっと生きてんじゃねえよ!」と言われないように自分で何ができるのかを考え続けないといけません。
芸は身を助ける
私などはただの「石頭の論文バカ」だったのですが、駆け出しから少しはモノが見えてきだした頃に、製品たる研究論文集・紀要の表紙には「レザック」という厚手の凸凹した紙に題字、出版年、出版元の文字を入れるスタイルを多用していた事にマンネリというか幾ばくかの疑問は感じるようになっていました。
時折カラーの表紙も手掛けるのですが、支給された原稿写真は横位置で撮られた変哲の無い写真ですので、中央に写真を置いてその上下に文字を配置するレイアウトにも疑問を感じずに、普通で当たり前だと思っていた時代でもありました。
そこに、ある仕事で表紙の見本用にお預かりした冊子の表紙が南米のパタゴニアの雄大な風景が縦位置で全面に広がり、青い空の部分に題字が入っているだけなのですが、私の中のスイッチが入ったようで「良い写真が有れば小細工無しで表紙が出来上がる」ということに目覚めました。
その後にデジタル化による恩恵で、我が社でも簡単にカラー印刷が出来るようになるのですが、それに前後して私も前述のデジタルカメラに目覚め、趣味の写真を撮っていた延長で、自分で表紙の写真を撮ったらどうかなと考えるのも好奇心旺盛な私の中では自然な流れです。
20歳代後半に本社勤めの営業社員だった頃は広島大学の東千田、霞、東雲、西条の全キャンパスを一人で担当していた経験があるので、東広島に転居して現場勤めになっても大学のキャンパスは物怖じせずに歩けるのが取り柄で、色々な建物毎に四季それぞれで縦位置・横位置などアングルを変えながら撮り貯めていきました。
撮っていると不審者のようでもあるのですが、「何を撮っているのですか」と声を掛けてこられた方が、大学の緑化の責任者だったり、ロボット工学の院生さんだったり、面白いお話も立ち話ですが伺う事もできました。
前のブログに書きました大学全体の地図を描いた事もありますし、キャンパスツアーや自然観察会、大学祭などにも参加しながらキャンパスの細部に至るまで知識を蓄積もしました。
そうこうしていると営業担当の方に「ニシキさん、写真ある?」とお声掛かりも時には頂ける様になったり、ほんの少しですが撮影の依頼を頂いたり手応えもありました。
ところが標準レンズで一巡して撮影しますと、また何だか物足りないマンネリに陥ります。画角の問題で写真に広がりが無いのが一因です。趣味では遠くの飛行機や猫を撮るのために「望遠バカ」になって広角レンズなんて眼中になかったのですが、仕事がらみで撮ると、建物全景を入れるために広角レンズが必要になります。またその頃にはコンパクトカメラに「パノラマ」撮影機能が普及してきて、これも有効な手立てになって表現のマンネリから開放されます。
このあとに魚眼レンズも入手してデフォルメされた映像も楽しめるようになりました。下の熊の剥製写真は上から見下ろすとプーさんみたいに愛嬌があるように見えるのですが、下から見上げると牙をむいて襲い掛かってくる形相になります。多分子供の低い目線では熊の怖い一面しか見えていないのでしょう。このように撮り方一つで被写体から異なる表情を切り出すのも楽しみの一つです。
印刷に使うには季節的には桜の写真が定番のようですが、実はあまり出番がなく、新緑の写真が年間を通して使いやすいです。桜が散って、5月の下旬から梅雨前の6月上旬が私好みのシーズンですし、夏期休暇中などに芝生の刈られた後などは絶好の撮影チャンスです。
また木の枝の花や葉で被写体を囲むように撮るのも広角レンズを使った表現法として面白いです。
この際だから飛んでしまえ
ここ数年はそれで「カメラの虫」が収まっていたのですが、ハイエンド一眼もモデルチェンジで「E-M1 MarkⅡ」とかいうのが発売されますと新しいレンズも欲しいしカタログに見入ってしまいますが、趣味の自転車のほうにも配分していて、先立つものが有りませんので大人しくしていました。ところが身辺整理で身の回りの品をオークションに流していると小銭がたまって悪い病気が再発します。
MarkⅡを買っても従来の写真と大きくは変わらないなあと考えていると、また頭の中のスイッチが入って「地面から飛び立てば変わった写真が撮れる」と考えるようになって、ドローンの雑誌を読んでみるようになります。
私の趣味の自転車が7台あったのは、安いのから始まって徐々にステップアップして結局は最後に高いのにたどり着いたということで、結局最初から高いのを買えば良かったという教訓を得ていました。そこでドローンについては1万円台のトイドローンには目もくれず、最初から定評のあるDJI社の「MAVIC Pro」を買い求めました。
始めて飛ばす時には「墜落したらどうしよう」という不安がいっぱいで飛ばしましたが、そんな不安はどこえやらで、冗長性のある自動化が進んでおり、GPSの利用で戻ってくるのもボタン一つで離陸地点に戻ってきます。「おもちゃ」と思っていたら大間違いで新たな表現を生み出すツールとなりました。
下の写真は弊社東広島工場の錦秋の風景をそれぞれの機材で撮りましたが、適材適所で使い分けるとイメージが広がっていきます。
ただ、今の悩みは早くも新しい機能が搭載された「MAVIC2」が発売されて旧型になってしまった事です。値段も大きくアップしているので身ぐるみを売り払って資金集めを算段する毎日です。
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