ニシキプリントで一番デジタル化が遅れている「Window-tribe」です。
それと言うのも何度か昔話を書きましたが、若かりし頃、組版がアナログだった時代にブイブイ言わしてあぐらをかいている間に時代がデジタルに移行してしまって、気がつけば浦島太郎のような状態になっていました。そんな時代に取り残された視点で今回はとりとめもなく書いてみます。
コピペ問題
私は仕事上、原稿や校正紙を見ることが多いポジションにいますので、考え方によっては「読書をさせてもらえて、その上、お給料が貰える」というありがたい仕事をしています。
そのかわり、私などには意味不明の数式や欧文、ひたすら数字ばかりの表と格闘になることもありますが、読む方の利益になるための「原稿を書かれた方々」のご苦労に敬意を表します。
かなり旧聞に属するのですが、スマホではなく、いわゆるガラケーと言われる携帯電話にカメラ機能が搭載された時分に書店やコンビニで書籍・雑誌の必要な箇所を撮影して買わずに出て行く不届き者に対して「デジタル万引き」という言葉が使われだしたようです。犯罪としての立件は難しいそうですがマナー向上を訴える取り組みをして今では一定の成果があるようです。
それに前後して浦島太郎状態の私にとってのデジタル黎明期に、仕事で眺めていた文集の原稿の中に「エヴァンゲリオン」について詳しく書かれた原稿を見て「すげー、詳しい人じゃ」と心底感心したのですが、後日、習いたての「ネット検索という技」で調べ事をしていますと「Wikipedia」なる便利なサイトに出会いました。
そこのなかでエヴァンゲリオンを検索したところ、その感心した文章が、そのまんま寸分たがわず目の前に広がります。文集に投稿していた方に対する敬意が瞬時にして瓦解しました。これが私にとっての「コピペ問題」との出会いです。
後に大学生の提出レポートや卒論などでも、その多くにネット上の文章の「写し書き」が見つかったそうで、教育上、大きな問題になったのは私のような者が述べるまでもなく皆さんのほうが詳しいと思います。
学問の世界では「剽窃」という
さて、科学者が論文掲載を目指す「ネイチャー」と「サイエンス」は世界的に権威ある科学誌だそうですが、私の手許に「nature ダイジェスト 2014 / 3月号」があり、この冒頭に「STAP細胞」についての華々しい記事が見られます。
テレビなどでは「リケジョ」という言葉が脚光を浴び、研究ユニットリーダーの割烹着姿などが報道されましたがそれも長く続かず、一転してデータの切り張りによる改ざん、捏造について長らく報じられて最終的に掲載論文は撤回になり、博士の学位も多くの問題点が指摘され学位取り消しになったようです。
かなり根の深い問題で一般市民の私には全貌を理解する事はできませんが、ともかく学問の世界の「光と影」の厳しさを垣間見る機会とはなりました。
学問の世界では自ら考える事無く他人の成果を盗用することを剽窃(ひょうせつ)と言うそうですが、チェックしたい文献中にWeb上に同様な文字列がないか多言語に対応してチェックするソフトが知られるようになりました。
最近は学生に対して剽窃は発覚した場合、試験の無効や単位の取り消しなど処分がなされると規定化もされているようです。
Wikipediaと上手に付き合おう
Wikipediaは私達一般市民が知識を得る手段として大きな選択支になっています。多くの方がブログなど書いていますが、それらも調べてみますと結構「剽窃」の痕跡を見つけることができます。剽窃チェッカーに拠らなくても目視で違和感が見える事もあります。
端的に言いますと句読点の「、」と「,」の不統一や鍵括弧の「 」、『 』の混用、「ですます調」と「である調」の混用など違和感のある部分の文章の中心となる人名、品名、書名などのワードを検索するとWikipedia上に「ニヤリ」とする検索結果が出ることもあります。
決して今述べた剽窃の特徴を隠せと言うつもりはありませんが、安易にコピペする人の傾向としては、私の偏見ではありますが文章に無頓着で「文章を書く事を楽しむ」のではなく義務的に「出せと言われたので出した」的な感じがします。
検索で調べた内容を掲載してくれた方に敬意を表しながら自分なりに噛み砕く事により自らを高め、そこで得た知識を自らの考えを交えて相手にも情報提供がでればと考えます。
世の中どんどん便利になり、私なんぞは漢字は「読め」と言われれば人様よりちょっとだけ読めると天狗になっていますが、「書け」と言われるとからっきし駄目です。それどころか最近は音声認識で文字を見る事も無く用事を済ませる事ができる技術も浸透しています。
この先10年・20年先、もっと便利になって今以上に人間がズボラになってくるのではないかと危惧しますが、時には町中のカフェを離れてキャンプ場に行くかのように、文章を書くのも「不便を楽しむ」文化が残る事を期待したいものです。
追伸:
恐る恐るこの駄文を剽窃チェッカーにかけてみました。何となくOKぽくて一安心でした。
コメント