どうも、よっさんです。
本の表紙やレストランのメニュー表など、表面がツヤツヤしたものやキラキラとしたホログラムが透けているものを一度は目にしたことがありませんか?これは、もともとそういった紙に印刷しているのではなく、印刷した紙の表面に加工を施しているのです。
では、なぜ表面加工をするのでしょうか?
まず第一に挙げられるのが、表面保護の役割です。コーティングすることで紙自体の耐久性をあげることができます。そのため、強度を増す、水をはじく、汚れに強い、キズがつきにくい、色あせしにくい等の効果があります。先ほど例に挙げたレストランなどのメニュー表は、液体をこぼしても拭き取ればきれいになるという理由で表面加工されているものが多いようです。
また表面加工には、「汚れないようにする」という役割のほか、「汚さないようにする」という役割もあります。紙の全面に印刷されている(特に全面に色があるなどインキ量が多い)場合、印刷物同士がこすれて色移りすることがあります。そこで、表面加工をすることで印刷物同士が汚れないようにするのです。
他にも、表面加工をすることにより表面に光沢を与えて質感を出し、見栄えを良くする表面化粧の役割もあります。これは、化粧品やおかしなどのパッケージ印刷などによく見られます。
表面加工の方法は主に3種類あり、それぞれ加工方法が異なります。
ニス加工(ニス引き)
油性、水性、UVニスなどを塗布し乾燥させる加工方法で、印刷した紙の上にオフセット印刷機で薬剤を印刷(塗布)します。ツルツルした感じに仕上がる光沢と、光沢のないマットの2種類があります。印刷と同じラインで加工できるためコストを抑えることができ、スポット加工※も可能です。
※スポット加工(部分加工)…用紙全面でなく一部分のみ加工する(あるいは加工しない)方法。例えば、ノート等の名前記入欄はスポット加工でニスなどの表面加工がされていないので、名前が書き込みやすくなっています。
光沢感や耐久性は後述のプレスコート加工やラミネート加工には劣りますが、紙の質感を生かして加工することができます。
プレスコート加工
熱硬化性樹脂を印刷面に塗り、熱と圧力を加えて圧着させ表面に鏡面光沢をつける加工方法です。加工の特性上、ツルツルとした光沢加工しかできません。また、後述のラミネート加工に比べると耐久性は低くなります。ニス加工と同様、スポット加工が可能です。
ラミネート加工(PP貼り)
PP(ポリプロピレン)のフィルムを印刷物の表面に圧着させる加工方法です。表面加工の中でも最も強度が強く、保存性、表面保護、防水に長けています。今回挙げた3種類の表面加工の中では最もよく見かけます(←よっさんが知る限り、ですが…)。ニス加工同様、光沢(艶)とマットの2種類があり、ホログラムやラメの入ったものもあります。(上の写真は艶PP…わかりにくくてすみません。)
ニス加工、プレスコート加工、ラミネート加工を見分けるには、紙を破ってみると分かります。簡単に破れればニス加工もしくはプレスコート加工です。ラミネート加工されているものは、紙の上にフイルムが貼られているため破れにくくなります。
環境に配慮した表面加工
最もよく使われるラミネート加工は、表面にポリプロピレン(ビニール)を貼るため廃棄の際に古紙としてリサイクルするのが難しく、自治体などが行うゴミの分別収集でも燃えるゴミとして処理されているのが現状です。
そこで、最近ではラミコート加工(LC加工)という新しい表面加工技術もあります。これは、印刷物にUV硬化樹脂を塗布した状態でフィルムを密着させ、フィルムの平滑性や凹凸(ホログラムやエンボス柄等)を樹脂に転写させる加工方法です。紫外線を照射し樹脂が硬化した後にフィルムを剥離するので、古紙再生適性も高く、焼却時に有害物質も発生せず、環境に優しい表面加工なのです。(よっさん、今回の記事執筆の下調べを通して初めてラミコート加工を知りました…まだ見たことがありません…。)
丈夫で、きれいで、しかも環境に配慮している。様々な付加価値と共に表面加工技術も進化しているのです。
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