地図から消えた島「大久野島」

こんにちはaiです。

毎日暑いですね~。只今夏ど真ん中です。
先日aiは日帰りで大久野島へ行ってきました。
大久野島は野生のウサギが生息する無人島として有名です。
最近言葉をしゃべりはじめた子どもに,絵本ではない本物のウサギを見せる目的で出かけました。
なんの下調べもせずに出かけ,いろいろ衝撃を受けたので帰ってから少しこの島について調べてみました。
実はこの島,戦時中地図から消えていた暗い歴史があるのです。

大久野島は広島県の竹原市に浮かぶ無人島です。
民家はありませんが,国民休暇村があり,リゾート地として楽しめます。
呉線JR忠海駅から徒歩5分,忠海港からフェリーで約10分の位置にあります。
ちなみに・・・
JR忠海駅の近くのコンビニにはウサギのエサも売っていました。(島に渡る際にはエサは必須アイテムのようです)
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▲リゾートです!海水浴もできます
ウサギ・アイランド
フェリーから降りてまず出迎えてくれるウサギ。野ウサギなのですが,とても人に懐いています。いつもお腹がすいているようで,エサを持っている人間はモテモテです。
あげていいエサ
・野菜(キャベツ,人参,水菜など)
・休暇村で売っているエサ
・牧草
やってはいけないエサ
・玉ねぎ,ねぎ,ニラ,ピーマンなど刺激のある野菜
・人間用に調理されたお菓子やパンなど
・ジュース,紅茶,コーヒー,お酒など
注意点:
ウサギは骨折をしやすい為,抱っこしたりつかまえたりしてはいけません。さらにこの島にウサギを連れてきて放す人もいるようです。飼われていたウサギを野生の群れに放すと,エサの奪い合いでいじめられてボロボロになり,馴染めず死んでしまうウサギもいます。
ウサギを理解し楽しく戯れましょう。

▲出迎えてくれるウサギ
地図から消えた島
今ではまるごとリゾート施設の無人島ですが,(民家はありません)暗い過去がありました。
1902年,日露戦争に備え軍事都市広島と呉を守る目的で,瀬戸内海の島々に砲台が設置されました。ここ大久野島もその中のひとつでした。
1929年には陸軍が火工廠(兵器・軍需品の製造工場)を設置し,国際法で使用禁止されていた毒ガス製造工場が秘密裏に作られました。その為対岸からの写真撮影は禁止され,呉線の列車の中からもこの島を見えないように海岸側の窓は全て閉ざされ,地図からも消されたのです。
毒ガス製造
製造された毒ガスはイペリットガス,ルイサイトガス,クシャミガス(呼吸困難),催涙ガスの4種類です。これらは日中戦争や第二次世界大戦中に中国大陸に持ち込まれました。敗戦時日本軍は国際条約違反である毒ガス使用の実態を隠蔽するため中国の山や川に投棄しました。さらに大久野島には,周辺の毒ガスを全て集結し処分しました。(その総量は約3000トンという量で,この量は世界中の人間を殺すことができる量なのだそうです)処理方法は海洋投棄,火炎放射器による焼却,島内での地中処分などで,十分な処理ではなかった為,現在でも地下4~5メートルの地中からヒ素が検出されたりもしています。

▲毒ガス貯蔵庫跡

▲発電所跡地

この島にいるウサギってもしかして…

大久野島のウサギってもしや動物実験用の生き残りなのでは?
と思いますよね?でも実際は戦後全て処分されてしまったのです。(;д;)
さらに戦後GHQのから領土返還された後,広島大学が生物調査しました。これによると,島全体にカルキ(消毒用サラシ粉)200トンが厚さ約3cm程も撒かれていたそうで,植物も枯れてウサギなどの動物の生息も不可能ではないかとの調査報告があります。

廃墟になった戦争の傷跡
大久野島には戦時中使用されていた砲台,火薬庫,発電所などが,あちこちに廃墟となって残されています。
廃墟本を見たり廃墟のサイトをよく見る廃墟好きのaiは,最初こそテンションはアゲアゲでしたが,見ていくうちに戦時中の狂った感覚に呑まれ鳥肌が立っていました。
当たり前のように砲台を設置し,要塞があり,防空壕も完備。もしもに備えた設備の存在がとても恐ろしく感じます。
わたしがこの時代に大久野島近辺に住んでいたら,この島で毒ガスを製造していたのでしょう。製造していた毒ガスは国際法に触れる程危険なものです。働いていた多くの人が肺を患ったといいます。今では美しい自然に恵まれたリゾート地ですが,当時は毒ガスに汚染された恐ろしい島だったことを連想し,つらい気持ちになりました。

 
戦争について

広島県の小・中学校では,夏休みの毎年8月6日は登校日です。戦争の悲惨さを学ぶ平和学習のためと,被爆地ヒロシマを追悼するためです。広島県人は平和になった今でも,原爆が落とされた8月6日は特別な日です。戦争を知らないわたしたちでさえ原爆を落とされた恐ろしさや悲惨さを,平和学習の映画などで繰り返し観たことで,軽くトラウマになっているほどです。しかしながら,今回大久野島について調べると知らなかったことが多く,いままでやってきた平和学習というのは被害者の側面だけのような気がしてなりません。広島は原爆を落とされた,軍事都市として毒ガスを作っていた,被害者でもあり加害者なのです。戦争に加害者も被害者もないかもしれません。戦争というものが異常事態なのですから。しかし,こんな恐ろしい過ちは二度と起こしてはいけません。毒ガス製造工場では若い人や低所得の人が連れて来られ,なかば騙され充分な知識も与えられず毒ガスに汚染され長く生きることはなかったそうです。

原爆で亡くなられた方,毒ガスで亡くなられた方,戦争に巻き込まれてしまった多くの人に祈ります。

過ちは繰り返しません。絶対に。

このことを子どもには,きちんと伝えなければならないと感じたaiなのでした。

 

休暇村大久野島 →こちら
毒ガス資料館→こちら
大久野島と毒ガス→こちら
 
 

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