さて、今回のブログは統一テーマ「広島といえば」にちなんでお送りします。
色々考えたのですが、あまりありきたりな題材を選ぶと、たちまち他のメンバーと内容がかぶってしまいそうなので、ちょっと視点を変えて、広島県が2012年の3月から行っている、いわゆる「自虐キャンペーン」について取り上げてみたいと思います。また自虐ネタか、と言われそうですが、今回は私個人の話ではありませんので、しばらくお付き合いください。
1.「おしい!広島県」
私がこの観光キャンペーンについて初めて知ったのは、社内に「おしい!広島県」のポスターが貼られているのを見たことがきっかけでした。しかし、見た最初の印象はと言えば、このキャンペーンの観光大使の有吉さん(確か元「猿岩石」の方でしたよね、ちょっと古いか…)の顔があまりにも「悪人顔」に写っていたのが印象に残った程度であまり気にもしませんでした。
しかし、後から知ったところでは、その観光キャンペーンの特設サイトは、開設して12日間で100万件を超えるほどのアクセスがあるほどの人気だったそうです。サイトの人気のみならず、実際の経済効果もあったそうで、広島県産のレモンや牡蠣(カキ)の売り上げにも大きく貢献したといいます。
2.一体、広島県の何が「おしい」のか
では具体的に、広島県の何が「おしい」のか、ご存知でない方のために簡単にご説明しましょう。
(1) 『日本一のレモンの生産地、シェアは57%』…これは広島県のこと。なのに、知らない人が多い。おしい!
(2) お好み焼き屋の店舗数は日本一なのに、『広島風』と付いてしまう。……おしい!
(3) 万年Bクラスの広島カープは、いつもおしい!
(4) 有吉さんの出身地・熊野町の熊野筆。国民栄誉賞の副賞としてなでしこジャパンへ贈られたことでも話題。日本ではなく、世界で高評価に……おしい!
(5) 日本三大銘醸地の『西条』…灘、伏見と並んであと一つどこ? と言われてしまう。おしい!
(6) 世界文化遺産に指定された宮島、修学旅行で行ったことがありますか?と聞かれると、修学旅行で行ったことがある人ばかり。おしい!
(上記に挙げたのは一例で、更に詳しくは公式ホームページ『おしい!名鑑』で確認することができるそうです。)
確かに、私も(1)については知りませんでした。これがキャンペーンによって広く知られたことで、広島県産のレモンが国内大手飲料メーカーのジュースの原料として採用され、先ほどの経済効果が生まれたわけです。
(2)についてはこんな話があります。広島市周辺には約2,000軒のお好み焼屋があると言われ(2012年時点での話)、この数は牛丼チェーン全国店舗数第一位を誇る『○○屋』の店舗数1,805店(2012年5月現在)を上回るのだとか。広島県人のお好み焼好きがうかがわれますね。
(3)については、私はあまりスポーツに興味がないので詳しいコメントはできませんが、私がまだ子どもの頃(何と35年以上前!!)、日本一になって以来、優勝に縁がないのは本当に残念です。せっかくホームの球場も新しくなった(マツダスタジアム)というのに、このところ好調のサッカーのサンフレッチェを見習って、ぜひもっとがんばってほしいものです。
(6)については、確かにその通りで、修学旅行で一度行ってしまうと、よほどの魅力でもなければ、次にまた観光で行きましょうということにはならないものです。しかし、地元の廿日市市に永らく住んである私などはもっとひどくて、宮島と言えば修学旅行どころか小学校の遠足で飽きるほど行った場所として記憶されてしまっていて、自腹で宮島に出掛けようなんてまず思いもしません。もちろんその頃はまだ世界文化遺産に登録もされていなくて、今ほどのありがたみもなかったのですが、文化遺産に指定され、今後どう宮島をPRして行くのか、ちょっと興味があるところです。
3.自治体では自虐PRが流行り?
この広島県の自虐キャンペーンの成功に便乗しようとする自治体も現れました。岡山市がその最たる例です。2013年2月からの市のPR事業として、「岡山市は『桃太郎市』に改名します。」と市の特設サイトで岡山市長は宣言したそうです。とは言えこれは架空の話。あくまでも話題づくりが目的のようです。
ただ、この発表をする市長の手には「おしい!桃太郎市」と書かれたキャッチフレーズが…。これはどう見ても広島県のキャンペーンのそのまんまのパクりで、しかも「岡山市は『桃太郎市』に改名します。」という言葉も香川県が2011年10月に同県のホームページにアップした動画で発表された「このたび、香川県は『うどん県』に改名いたします」という文句と瓜二つ、どうやら2つの観光キャンペーンのあわせワザを狙ったようです。
香川県のPRの方は元々2チャンネルなどで香川県を指すネット用語だった「うどん県」を利用したもので、いわゆる自虐キャンペーンではありませんが、広島県のキャンペーンはこの香川県に続く中四国地方の観光キャンペーンの成功例となったわけで、これらを岡山市は公然とパクってPRに利用したのでした。いやはや厚顔無恥というか、よくもこれだけ公然とパクったものです(もちろんこれは香川県、広島県の了解を得て行ったそうですが)。しかし所詮、二番煎じは二番煎じでしかないわけで、最初の成功例と比べれば自ずと効果は限定されるのではないでしょうか。
終わりに
広島県が成功させた、自虐キャンペーン。しかし賛否両論があるのも事実です。
「おしい」ことをそのまま「おしい」で終わらせてしまったら、それはいたずらに欠点や弱点を広く知らしめるだけであとには寂しさしか残りません。広島県のもくろみ通り、「おしい」を「おいしい」にどれだけ変えていけるか、広島県人の一人としてこれからも注視して行きたいと思います。では、今回はこの辺で。
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