秋と言えば -やはり芸術の秋でしょう- 3Dプリンターについて

3Dプリンター

おはようございます。シンです。
暦の上で秋になってからも、まだしばらく暑い日が続いていましたが、ようやく本格的な秋に入ったようです。急に朝晩が寒くなってきましたので、みなさん風邪など引かないように気をつけましょう。

さて、ここのところ、季節にちなみ「秋といえば…」を各ブログのメンバーが共通のテーマとして選んでいます。そこで私の場合、ありきたりではありますが、「芸術の秋」をテーマに選ぶことにしました。しかし、芸術と言っても、美術館をめぐって絵画や彫刻などを鑑賞するという意味合いではなく、ちょっと飛躍があるかも知れませんが、「創造の秋」といった意味でこのテーマを選びました。

本当に秋というのは暑くもなく寒くもなくて気候が丁度よく、何かモノをつくるにはうってつけの季節です。手先が器用でない私が作れるものと言えば、出来合いのパソコンのパーツを組んで自作のパソコンを作るくらいですが、今回はあるパソコンの雑誌の記事で私が興味を引かれた「3Dプリンター」についてご紹介しましょう。

1.個人でも3次元データから現物を手に入れられる時代に

実は3Dプリンター自体は、20数年前から業務用途で使用されてきていましたが、それは数百万円から数千万円もする、個人にはおよそ手の届かないものでした。最近にわかに3Dプリンタが注目されるようになったのは、低価格の製品が数多く登場してきたためで、中には15万円以下で購入できる製品もあるそうです。

急激に低価格化が進んだ背景には、「RepRap」と呼ばれるオープンな3Dプリンターの開発プロジェクトが創設され、RepRapベースの3Dプリンターを開発するベンチャー企業が多数登場し、これによって3Dプリンターのブームが起こりました。

これまでコストの問題で導入できなかった中小企業や個人事業主でも、製品の試作などに3Dプリンターを活用する動きは広まることが予想されます。これがさらに進むと、かつて一部の大企業や研究施設だけのものだったコンピューターが、パソコンの登場で誰でも利用できるようになったのと同じく、3Dプリンターの発展がものづくりのパーソナル化を実現できるかも知れません。

例えば、”Thingiverse(シンギバース)”(筆者注:恐らく”Thing Giver’s”「物を与える人の」に由来する名前だと思われる。)というサイトには、生活雑貨、ファッション小物、アート作品など様々な3Dデータがアップされており、好みのデータを無料でダウンロードして即座に3Dプリンターで出力できます。こうしたサイトを利用すれば、自分で3Dデータを作れない人でも3Dプリンターを活用の幅が広がるでしょう。

既に他のユーザーが作成した3Dデータを購入できるWebサイトも登場しており、将来3Dデータの販売サービスが定着し、3Dプリンターで日用品などを出力してすぐに手に入れることができるようになれば、現在のようなネットで購入し、商品を宅配サービスで受け取るというネットショッピングは過去のものになる可能性もあります。このように3Dプリンターには私たちの生活やさらには産業構造までも変えてしまう可能性を持っていると言えるでしょう。

2.業務用3Dプリンターと低価格3Dプリンターの違い

既に述べたように、業務用の3Dプリンターもしくは大型の造形機は、製品の開発や試作、建設、医療、アートなどの分野で20数年前から使われてきました。では、これらの高額な業務用と低価格製品では何が違うのでしょうか。最大の違いは作れる造形物の精度です。

一般的に、低価格の3Dプリンターは溶かした樹脂を、ちょうどピラミッドを下から上へと積み上げて行くように、順々に積み重ねて造形する「熱溶解樹脂積層法(FDM)」という方式を採用しており、その多くは最小積層ピッチが0.1~0.2ミリです。これに対して業務用のプリンタの中には0.016ミリと精度が約10倍のものもあるそうです。

数字で10分の1ミリの精度と言われても、この精度で何が不足なのかという気がしますが、出来上がった造形物を両者で比べてみると、業務用の高精度なものの方が圧倒的にきめ細かいものができるということです。

さらに、業務用の3Dプリンターには、材料を紙のプリンターのように吹き付けるインクジェット方式や、液体に光を当てて硬化させる光造形方式、粉末にレーザーを当てて焼き固める粉末焼結方式など様々な方式があり、高精度を追求しています。それゆえ、これらの業務用の3Dプリンターの価格はどうしても数百万円から数千万円と高価になるのです。

3.CADを使わずに簡単に3Dデータを作る方法

3Dプリンターで出力するための造形データを作成するには、製図用のアプリとして使われているCAD(キャド)を使う方法が一般的です。CADのアプリにはもちろん業務用の高額で高性能なものもありますが、最近ではフリーで使え、操作も単純化されたアプリも登場してきていて、一般ユーザーでも気軽にCADが利用できるようになってきています。

とはいえ、もっと手軽に3Dデータを作成する方法はないものか、と思う人も多いはずです。そんな要望に応えるアプリケーションとして、米国オートデスク社の「123D Catch」があります。これはiPhoneなどで3D化したいものの写真を何枚も撮影すると、その写真を自動的につなげて3Dデータ化してくれるというものです。

また、米国メーカーボット社の「Digitizer」(米国ドルで直販価格1,400ドル)など立体物を3D化してくれる機能を持った、いわゆる3Dスキャナーも、まだ高価ですが注目されています。

おわりに

以上述べてきたように、3Dプリンターというのは非常に魅力的な可能性を秘めたデバイスであると言えますが、もちろん現状では様々な課題があります。

現在の低価格の3Dプリンターで出力できる造形物は、まだ表面に粗さが目立ち、出力時間も、ものにもよりますが、1個あたり大体数時間かかるため、まだ万人向けの品質や出力速度、価格となっていないのが実情です。

さらに自分でオリジナルの作品を作ろうとすれば、どうしてもCADのアプリなどの知識も必要となります。私が見た雑誌で、実際にオリジナルの作品をCADの操作経験がない人が作る過程のレポートが載っていましたが、実際に自分でやるとなると相当に面倒そうです。もちろん、自分のオリジナルの造形物が完成した時の喜びはひとしおなのでしょうが。

それと、Windows8の改良版である、Windows8.1では、従来プリンターごとに各社でバラバラだったファイル形式を統一し、対応製品であれば通常の紙のプリンターと同様に出力できるという、3Dプリンターのドライバーが搭載されたそうです。これから3Dプリンターがどのように進化していくのか、注視して行きたいと思います。では今回はこの辺で。
(以上の記事は『日経パソコン 2013年10月14日号』を参考にさせていただきました。)

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