夏といえば…-セミの季節ですね-

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シンです。もうお盆休みに入っている方も多いとは思いますが、とにかく連日猛暑が続いています。弊社も明日からいよいよ4日間のお盆休みに入りますが、この暑さでは、休みに入る前から「暑さで家で何もする気になれなくて、扇風機をフル稼働させてぼーっと連休を過ごす」という最悪のシナリオが私の頭の中でできてしまいつつあり、早くも憂鬱な気分になります。

とはいえ、最低でも自動車の免許の更新だけはお盆休み中に何としてもやっておかなければと密かに心に決めているのでした。なかなか、普段だと混み合っていて、免許の更新だけで半日仕事になるものですが、8月に誕生日が巡ってくることの唯一のメリットがこれではないかと最近思うようになっています。しかし、免許の更新期間が延びているこの頃では、数年に一度のメリットにしかすぎませんが。

さて、暑さがピークのこの時期、元気がいいのは夏休みを謳歌してはしゃいでいる子どもと、今を盛りにと鳴き続けているセミくらいのものではないでしょうか。つい先日、日曜日に町内会の清掃で公園の草取りをしていると、頭上の木の上から鳴いているセミの姿が見えるほどの至近距離で大音量のセミの鳴き声が聞こえてきて、ただでさえ暑くてかなわないのに、さらに暑さが倍増する気がしたものです。しかし、地上で鳴く期間が限られているセミたちにとっては、そういった人間の思惑など気にかけている余裕もないのかも知れませんね。そこで、今回は夏の定番の昆虫の一つ、セミについて調べてみることにします。

セミはなぜ鳴く?

言うまでもなく、セミは何も暇つぶしに鳴いているわけではありません。鳴いているのはオスの方、といえばもうお分かりでしょうが、基本的にはメスを呼ぶために鳴いているわけです。基本的には、と言ったのは仲間同士のコミュニケーションのためという理由もあると言われているからです。

限られた短い期間に子孫を残すために命を削って必死に鳴いているのだと思えば、それなら仕方ないなという気にもなります。しかし、いくら何でも夜まで鳴き続けるのは勘弁して欲しいものです。公園などでは防犯上の理由などで夜もずっと街灯がついているものですが、そのことでセミが昼夜問わず鳴くような環境を作ってしまうことになるとは、何とも皮肉な話ではあります。

セミの寿命についての俗説

私が子どもの頃(数十年前のことですが)には、セミを捕ると大人から「すぐに死んでしまうからかわいそうだから放してやりなさい。」とよく言われた記憶があります。このように、従来セミの寿命は成虫になってから1~2週間ほどと言われていましたが、これは成虫の飼育が困難なためにすぐに死んでしまうことからきた俗説で、野外では1か月ほどと言われているそうです。さらに、幼虫として地下で生活する期間は3~17年(アブラゼミでは6年)に達し、短命というイメージからは程遠く、昆虫類でも上位に入る寿命の長さなのだそうです。

だからというわけではありませんが、子どもがセミを捕まえても、すぐに放してやるように注意する必要もないのではないでしょうか。子どもが数匹捕まえたところで、セミが絶滅するわけでもありません。もちろん無益な殺生は避けるべきですが、自分で捕まえたセミを命が尽きるまで自分で世話をさせることも、生命の大切さを学ばせるいい機会になるという見方もできるのではないでしょうか。

また、仮に放してやるにしても、捕まえた場所と全然違う場所に放してやるというのは良くないと言われています。環境が違えば、住んでいるセミの種類も異なり、均衡が保たれている生態系に別の場所の生き物を持ち込むのは生態系のバランスを崩してしまうことになるからです。そう言えば、日曜日に公園で草取りをしていた時に、セミが鳴く木の下には鳴いているセミと外見がそっくりなセミの死骸があった記憶があります。このことから見ても確かに地域ごと、木の種類ごとにセミの種類の分布は細かく決まっているのではないかと思えてきます。何だか自由研究の課題になりそうなお話ですね。

セミに関する興味深いお話

セミに関しては、調べてみると、いろいろな面白いお話があるようですので、いくつかご紹介しましょう。

■セミが原因で通信障害
セミには、元々枯れ木に産卵するという習性がありますが、あやまって電線や光ケーブルに産卵してしまう場合があり、それによって通信に悪影響を与える場合があることが知られているそうです。特にクマゼミのメスが枯れ枝と間違えて光ケーブルに産卵してしまい、ケーブルが傷付いて断線してしまうという事故が、クマゼミの生息域の西日本で報告されているそうです。

■元々は怠け者は「キリギリス」ではなく「セミ」だった?
イソップ童話で有名な「アリとキリギリス」のお話は、地中海南欧沿岸のギリシアで編さんされた原話では本来「アリとセミ」の話なのだそうです。しかし、セミは元来熱帯系の昆虫で、日本より緯度が高いヨーロッパや北アメリカではセミの種類も少なく、また小型で迫力がないので知名度が低かったため、分かりやすくするためにキリギリスに置き換えられたのだそうです。(確かにどちらも「鳴く」ことでは共通していますね。)そして日本にもこの置き換えられた物語の方が伝わったのです。

■「セミ」も「イナゴ」も英語では同じ?
イギリスから北アメリカへ移民した人々が、ジュウシチネンゼミ分布地に入植してこのセミの成虫の大量出現に遭遇した際、驚いた移民達はいったいどういう昆虫なのか理解できず、聖書を紐解き、旧約聖書の出エジプト記などに記された蝗害(こうがい)の記述にこの現象を当てはめ、本来の英語でセミを示す“cicada”ではなく、イナゴを意味する“locust”の語を当てたと言います。このことから、アメリカ英語ではセミを言い表すときに、“cicada”と“locust”の両方の語を使う慣習が生じたのだそうです。

■欧米人にとってセミの鳴き声は単なるノイズにしか聞こえない
明治維新の時、日本にやってきたヨーロッパ人はイタリアや南仏などの地中海沿岸地域出身者を除くとセミを知らない者が多く、「なぜ木が鳴くのか」と尋ねた者もいたといいます。現在でも、日本のドラマやアニメを欧米圏に「輸出」する際には、夏の場面ではセミの鳴き声を消して送るのが通例なのだそうです。日本ではいかにも暑い盛りの効果音と感じられても、あちらではセミの鳴き声が理解できず、妙なノイズが乗っているだけと思われる場合が多いからなのだそうです。

終わりに

セミに関する様々なお話、いかがでしたか。私にとっては、特に最後の欧米人にとってセミの鳴き声はノイズにしか聞こえないというのが興味深いです。思えば「春といえば…」のテーマで「サクラ」を取り上げた時にも、日本人と欧米人の自然に対する感性の違いを大いに感じたものですが、昆虫に対しても同様のことが言えるのではないかという気がします。

まだまだ暑い日が続きますが、暑さ寒さも彼岸までと言いますから、もう少しの辛抱のはず。みなさんも健康には十分気をつけて暑さを乗り切ってください。では今回はこの辺で。

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