エスキです。
今回は読書について書きたいと思います。
読書についてと言いながら、私はほとんど小説を読んだことがなく、多くの人が読んでいるであろう普遍的な作品も未だに読めていません。
せめて有名な作品くらいは読んでおきたいので、年に一度は文学作品に挑戦するのですが、集中力が続かず断念してしまいます。
昨年末、和田竜『のぼうの城』(小学館文庫)を新刊本で購入して読んだのが、何年かぶりの歴史小説の読書となりました。
私にとっての読書は趣味の歴史にかたよっていて、しかも知りたい箇所だけを読む「調べもの」といった感じで本を読むので、好きな歴史の本でさえ、結局一部分しか読んでいません。
小説は最後まで読まなければ成立しません。そんな当たり前のことがなぜかできないので、結局小説が読めないままでいます。
そんな私ですが、表題から奥付まできっちり本を読んだことがあります。
それは私が点字図書館で働いていた時のことでした。
点字図書館にはボランティアの方々が音読した音訳図書があります。一冊の本をタイトルから奥付まで丁寧に読み、録音したものです。
昔はカセットテープに録音していましたが、現在は専用ソフトでCD-Rに録音し、専用機器で目次・ページを指定して聞くことができる、デイジー(デジタル図書録音)化が図られています。
利用者からのリクエストによって選ばれたタイトルの図書の本文を見ながら、カセットテープの音訳図書を最初から最後まで聞いて、欠落や雑音がないかチェックし、それらを修正してデジタル編集するのが私の主な仕事でした。そのため決して自ら手にすることはなかったであろう本を、表題から奥付まで読む機会に恵まれました。
当時の手帳を見返すと編集した本の数はちょうど100冊。自分の意志と無関係の100冊の本を読ませてもらったことになります。
読んだというよりは、音声を聞きながらなぞるように本文を目でおったという感じです。
突き詰めれば、聴いていたんだと思います。
その100冊の中には多種多用なジャンルがありました。
やはりエッセイや好きな歴史ジャンルのものは読みやすかったのですが、心に残った作品として手帳にチェックしてあるのは以下の作品でした。
- 『人間失格』
- 『日本社会事業の歴史』
- 『黒い雨』
- 『アラスカ物語』
- 『スタイルズの怪事件』
- 『マディソン郡の橋』
- 『赤毛のアン』
- 『水戸黄門』
チェックしていたのはほとんど小説でした。
手帳を見返して驚きましたが、やはり小説はおもしろいのだと思います。
しかし『赤毛のアン』とは。なにか恥ずかしいですが、これらの作品は読書の素養のまったくない、僕の心に響いた作品なので、やはり名作なのだと思います。
仕事でなければ読むことはなかっただろうと思うと、その業務に巡り合ったことは本当に幸運でした。
仕事で、しかも音声を聴きながら本文をなぞるという甘えたかたちの読書をしたためか、ますます小説を読むのが難しくなってしまいました。
たまに、文学作品を朗読したCDが売られているのを見ます。
自分で読むからこその魅力が小説の醍醐味なのだろうなと思いながらも、しかし私にはこの方法しかありません。
同じタイトルの本と朗読CDを買い・・・小説を聴こうと思います。
小説を読むのが苦手な方がいたら、一度小説を聴くことを試してみてください。
以上で失礼します。
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