日本の電子書籍 いまむかし -マンガ編-

シンです。梅雨も明け、いよいよ本格的な夏がやってきました。早くも猛烈に暑い日が続いていますが、みなさんは元気でお過ごしでしょうか。

さて、最近のブログで楽天の電子書籍リーダー「kobo」の東京国際ブックフェアでのレポートの記事もありましたが、この分野のデバイスの開発競争はめまぐるしいものがあります。そこで、今回のブログでは日本の電子書籍のいまむかし、特に今や日本を代表する文化として定着しているマンガのコンテンツについて見てみたいと思います。

マンガの電子書籍 -むかし-

電子書籍と名のつくものは1990年くらいからありましたが、当初はコンテンツの容量などの問題から文字ベースのものがほとんどで、マンガを電子書籍の形態で読めるようになったのは、インターネットの普及が急速に進んだ2000年前後だと思われます。
私もちょうどこの頃始まったマンガの配信サービスの一つ、eBookJapanでマンガを購入したことがあります。

過去のメールを調べて見ると、ちょうど2002年にeBookJapanに会員登録しています。動機は読みたいけれど手に入れにくいマンガがたまたまあったからだったからだと思います。
ここでマンガを数冊ダウンロードしましたが、当時は今と違ってパソコンは必要な時だけ起動というのが一般的な使い方だった時期でもあり、一通り読んだ後は、もう一度読み直すということもなく、そのままになってしまいました。この点、紙のマンガのように、読み飽きたら売るということもできず、不経済(笑)でした。紙のマンガのようにかさばったり紙が劣化する心配はもちろん皆無でしたが、所有する喜びはあまり感じませんでした。

おまけにダウンロードしたコンテンツにはプロテクトがかかっていて、閲覧ソフト(聞くところではハドソンが開発にかかわっていたとか)に印刷したり画像に変換したりする機能がないのはもちろん、ダウンロードしたパソコンでしか閲覧することができないため、パソコンを買い替えると、コンテンツをもう一度新しいパソコンで登録しなおす必要がありました。私も一度パソコンを更新しましたが、移行の手間がかなり面倒だったことは今でも覚えています。いまだにそのパソコンはあるものの、OSは何とWindows2000…、もうハード的にもソフト的にも限界で、間もなく引退させるほかないでしょう。しかし、今の新しいパソコンにもう一度コンテンツを登録しなおせるのか分かりませんし、できたとしてもそこまでして永久保存しようという気にまではなれません。なにせ10年も前の話なので、この際いさぎよくあきらめてしまうのが肝心かと…。

マンガの電子書籍 -いま-

これに比べると今は格段に便利になりました。おそらくAppleが最初だと思いますが、パソコンで一度コンテンツをダウンロードすれば、他のスマートフォンなどの携帯端末でも自動的に同期されて同じものを読め、どこまで読んだかという情報も共有できるようになっています。これは最近のタブレット端末同士でも同じです。おなじ閲覧ソフトさえあれば、iPadでダウンロードしたコンテンツをアンドロイド・タブレットで読むことだってできます。

最近、ある大手家電メーカーの運営するサイトで、マンガの無料コンテンツをダウンロードしてみました。よくある1巻目だけ無料というサービスです。しかし、タダほど高いものはない、という言葉があるように、マンガには、1巻目を読んではまってしまうと、続きが気になって止まらなくなるという一種の中毒症状をきたすという特徴があるので、注意が必要です。私もあやうくハマりかけましたが、そこはじっと我慢、残りの巻は「立ち読み」できる範囲で読んでやりすごしました。

この「立ち読み」できるというのも電子書籍の特徴で、アマゾンなどでは大体全ページの1割程度が立ち読みできるようになっているそうです。紙の本だと、最近は一般の本屋さんではマンガの単行本はビニールで完全包装されていて立ち読みは全く不可能なのが普通なので、これは電子書籍の一番の利点ではないでしょうか。立ち読みで気に入ったものは紙の本で手に入れたいという人も必ずいるでしょうから、立ち読みの解禁は売る側にとっても全く損な話ではないはずです。

先ほどの私が気に入ったマンガというのは、今まで自分がほとんど興味のなかったゴルフの世界を題材にしたものでしたが、読んでみるとこれが面白かったのです。このように今まで読んだことのないジャンルのマンガへの入り口としても電子書籍のマンガは最適です。

後で調べてみたところ、このマンガの出版元は、学習参考書の分野ではかなり有名なのですが、マンガの出版に関してはほとんど無名に近い存在で、同じタイトルの紙のマンガをオークション等で検索してみても、セットで驚くほどの高値がついているありさまで、とても手が出ません。これなら電子書籍のマンガの方がよほど入手がしやすいと思いました。
こういう一般の書店はもちろん、圧倒的な品揃えを誇るアマゾンなどネットの書店でもなかなか手に入らないようなマンガが、電子書籍だといとも簡単に入手して読めるのですから、便利な世の中になったものです。

蛇足ながら、同じタイトルのマンガが、複数の電子書籍の配信サービスで扱われている場合、配信元によって販売価格も違うことがあるので、よく調べて、なるべく安いところで入手するようにしましょう。私が気に入ったマンガも、少なくとも2つの配信サービスで取り扱われていて、値段が違っていました。

マンガの電子書籍 -これから-

最近はCDやDVDのレンタル店で、人気のあるマンガまでレンタルされているのを見かけます。現在は紙のマンガを貸し出していますが、これが間もなく電子書籍の貸し出しに切り替わって行くことは想像に難くありません。一定の期間だけ読めるような仕組みが必要ですが、これはすでに動画などでも使われている技術を応用すればできそうな気がするので、実現はそう遠くないのではないでしょうか。

終わりに

このように、マンガというジャンルは、日本において、おそらくもっとも早い時期に電子書籍で成功した分野だと思われ、なおかつアマゾンなどの外国の勢力がおそらくまだ手をつけていない分野でもあるため、日本の配信サービスが現時点では圧倒的に優勢のようです。しかし、この状態がこれからもずっと続くとは言い切れないのが今のめまぐるしい電子書籍の世界です。いずれにしても配信サービス間で競争が起こって、価格が下がってくれれば、ユーザーにとってはありがたいことです。これからこの分野がどう変わって行くのか、注目しておきたいところです。

ここまでマンガの電子書籍について様々述べてきましたが、実は私が一番好きなのは何といっても、紙のマンガです。たとえかさばっても、劣化しても、所有するという満足度がありますから。では、今回はこの辺で。

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